リハビリトピックス 「運動紹介(階段昇降)」
今月はリハセンターリハ部門からのトピックスの紹介です。
今回は下肢の筋力が低下している利用者様や脳卒中による半身不随の利用者様など、
多くの利用者様が活用している「階段昇降訓練」について説明しようと思います。
病院に入院してリハビリを受けられた方は知っていると思いますが、
階段昇降訓練は下肢筋力の増強 、バランスの改善 などの効果を得ることができます。
リハビリ専門病院でも、歩行訓練を始めるまでの手順として、
起立・着席訓練 → 歩行訓練 or 階段昇降訓練 と段階を付けて行われています。
当デイサービスのリハビリ職員も、
病院で働いている時は患者様の多くは階段昇降訓練よりも歩行訓練を希望される方が多くいました。
歩行訓練も重要な訓練内容ですが、階段昇降訓練も機能回復には欠かせない訓練の一つとして挙げられます。
当デイサービスでの階段を活用しての訓練状況の一例を簡単にご紹介させて頂きます。
●麻痺側下肢の支持性向上(筋力・バランス訓練)
脳梗塞や脳出血による後遺症で半身麻痺がある方は、
立位保持や歩行時に麻痺側に体重が乗っていない ことがあります。
また、歩行時に麻痺側の膝が伸びたまま(反張膝)の歩容になっている方も多く見られます。
階段訓練は上記の様な方にとって有用な訓練の一つになってきます。
下記の写真のように、麻痺側の膝を軽度曲げた状態をキープしながら
反対側の足を前後に振り出すことで、麻痺側に重心を乗せた状態での運動になるため、
下肢筋力強化や支持性の向上に繋がります。
自立して行える人は一人で行ってもらいますが、
支持性が十分でない方に対しては、必要に応じた介助で訓練を行っています。
麻痺側の支持性が安定してきた方に対しては、
麻痺側の振り出しがきちんと行えるようになるために、
階段の中央部に水の入ったペットボトルなどを置き、
ペットボトルに足が当たらないように注意しながら麻痺側の足を振り出すように促します。
麻痺があると骨盤を傾け、外に振り回すようにして振り出すことがあります。
足の振り出し方を意識して行ってもらうためにも、
障害物を置いて行うことで麻痺側の足の振り出し方の改善を図っています。
他の起立・着席訓練や歩行訓練にも同様なことが言えますが、
訓練はやり方を工夫することで、様々な効果が得ることができます(筋力・バランス・高次脳機能障害など)。
リハビリを担当するスタッフは、今後も様々な工夫をしながらリハビリを実施していこうと思っています。
文責:作業療法士 松本 淳志